柊

37セカンズの柊のレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
3.9
これまでも少しは障害のある人が、その人を演じると言う作品はあったけど、脳性麻痺役を脳性麻痺の人が演じる事は無かったと思う。それ故にゆまちゃんはまんま本物だ。
まるで彼女の人生を観ているのかと錯覚を起こしてしまいそうになるけど、それはやっぱり違う。でもハンディキャップを持った人も役者として十分にやっていける事を感じさせてくれた。それくらい体当たりな演技でした。

でも脚本ちょっと端折りすぎのいいとこ取り。特に家出をしてからタイへ飛ぶあたりから暴走していく。いろんな辻褄が吹っ飛ばされて、リアリティ感が失われてしまった。ストーリーにリアルさは求めていないと言われればそれまでだが…

タイじゃなくて国内では行けなかったのかな?国内なら十分に辻褄が合うし、むしろリアル感はより増したのではないかと思うのだが。
脇の登場人物、ワンシーンながらみんないい演技で、お?と思うような俳優使っていて脇固めは十分だったのに、タイだけがなっとくいかない。パスポートは?おかねは?期間は?着の身着のままだったのに?とかね。大東君があまりにもいい人過ぎて、スーパーボランティアか?とかね。

何もできないと決めつける母とやらせてくれないからできないと爆発する娘。
障害は関係ないね。帰ってきた娘の成長に大粒の涙を溢す母。母なら誰でも心当たりのある出来事だと思う。

母と娘の成長の一本でした。後味も悪くないです。
柊