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ブルー・マインドのNのレビュー・感想・評価

ブルー・マインド(2017年製作の映画)
4.1
『RAW』を観ていた人間からすると既視感があるが、本作と『RAW』では結末が決定的に異質だ。
居場所と思えない家庭、馴れない環境に苦しむ主人公の少女。スクールカースト上位のグループに混ざり込む勇気はどこから出てくるのか謎だけど、優しく声をかけてくる退屈な子と居るよりは、非行に走った方が満たせそうだと感じたのかもしれない。
スクールカースト上位のグループにもすっかり馴染んだ頃、初潮を迎えたと同時に体にある異変が起こる。その異変が他の人とはまったく異なるものだと気づき焦る。
体の変化が進む中、異様にセックスへ溺れようとするのは、自分に人間として欲が存在することを確かめたかったからか、それとも自分の身に起こる異変から目を背けたかったのか。女は興奮する時、相手のテクニックにそうさせられるんじゃなくて、自分が興奮していること自体に興奮すると聞いたことがあるけど、彼女もきっと自分の感覚のリアリティを感じたかったのだろう。
最終的に少女は人魚に変態し、海に還るわけだが、ここでの海は「社会」の比喩だろう。自分の異質さを認識し、抗い、苦悩しながらも、それを個性だと受け入れて社会へ泳ぎ出すことを示しているのだと感じる。
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