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楽園のkassyのレビュー・感想・評価

楽園(2019年製作の映画)
3.1
試写会にて。
綾野剛さん、佐藤浩市さん、瀬々敬久監督登壇。

吉田修一さんの短編集、犯罪小説集の中の「青田Y字路」と「万屋善次郎」を組み合わせて作られた作品となっている。
ある田舎の集落で小学生の女児がいなくなった事を発端に、限界集落の闇、田舎の閉ざされた中だから起こる事件に心痛める作品だ。

しかしながら、瀬々監督らしい抑揚のないトーンでのエピソードの羅列の仕方にやや物足りなさも感じてしまう。
同じ原作者であり似たようなテーマを扱っている「怒り」と比較してしまうと、どうしても…
物語の組み合わせ方、登場人物の登場するそれぞれの意味、エピソードの取捨選択に疑問符がつく。
それぞれが話しているセリフが私には一方通行、話したい事を話しているだけで全然会話になっていないように感じた。
それはラストになる程顕著になってくる。

現実に起こったやるせない事件をモチーフにした話だけに、思いの深さはあるものの言葉にしてしまうとなんだかラストの締め方が残念に感じてしまった。

タイトルの楽園は瀬々監督の発案との事。
登壇した俳優陣は「楽園」というタイトルにある種救われたとおっしゃっていた。
人は楽園だと思ってその土地に住むけれど、楽園にするかどうかは土地ではなく人次第なのだろう。

気になったのはエンドロールの曲の入り方。かなり間があるが、間髪入れず上白石萌音さんの第一声にした方が良かったのでは。
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