おーたむ

未知との遭遇 ファイナル・カット版のおーたむのレビュー・感想・評価

4.0
自分が見たのはどのバージョンなんだろうとDVDを見てみたら、サードカインドと書いてあったので、これみたいです。
(追記∶よく確認したら、どの版もサードカインドって付いてました。が、やはり見たのはこれみたいです。)
スピルバーグ監督らしい、娯楽性あふれる作品でした。

傑作と評されるいくつかのSF作品がそうであるように、本作も、未知なるものへの底知れない畏怖というものは、しっかり描かれています。
加えて、接近遭遇を果たした主人公ロイが徐々におかしくなっていく(ように見える)姿からは、人間の中身が壊れていく過程の恐ろしさなども感じられ、興味を掻き立てられました。
という具合に、スリラーもしくはホラーという雰囲気で始まる作品ですが、終盤あたりからはアドベンチャー的に色を変え、最終的には意外にファンタジックな方向に着地していきます。
初見のときには、こう行っちゃうのか…と、物足りなくも感じたんですが、後から思い返すと、監督自身が未知との遭遇をワクワクするような楽しいものだと考えてるからこそ、こういうラストなのかな…とも思えてきて、これはこれで一つの特色だと思い直しました。

まあ、「未知」について、なんでもかんでも見せちゃうので、深遠さとかスケール感はいまいち感じにくいですが、娯楽作品として素直に楽しめる、いい作品だったと思います。
70年代の作り手が描くSFという観点から見ても、ユニークな味があって興味深かったですね。
詳しくはないですが、こういうのをレトロフューチャーって言うんでしょうか?
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