dita

ぼけますから、よろしくお願いします。のditaのレビュー・感想・評価

4.0
@シネマート心斎橋   

「ぼけますから、よろしくお願いします。」
変な題名だと思っていた。映画を観て、このことばを題名にした理由が少しだけわかった気がした。たくさん泣いたけど、それと同じくらい笑い声に包まれた空間だった。映画も人生も「泣き笑い」っていいなと思った。

1200日の記録の前には60年の夫婦の歴史があり、夫婦の歴史の前には父と母の人生がある。当たり前だけど、全部が繋がっていた。
認知症の母、介護する父、それを撮り続ける娘。ぎりぎりの日常、いつ壊れるかもしれない家族の絆。大喧嘩しても泣き喚いても、美味しいご飯を愛する人のために作る、それを食べる、美味しいねって言う。紛れもない愛の映画だった。「定めじゃわい」は諦めのことばではなく、愛のことばだと思った。

昨日のことを忘れてしまっても、目の前で死んでやるって言われても、根っこの部分で持っている愛っていうやつはしぶとくて、それはたぶんこのご家族だけじゃなくて、家族から逃げ続けているわたしにもあるのかもしれない。明日になったらまた逃げるかもしれないけど、今日は家族のことをずっと考えている。
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