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グリーンブックのchanuのネタバレレビュー・内容・結末

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

南北戦争から100年経ってもこれだけ色濃く黒人差別が残っていて、それには国土の広さも大きく影響していると思うが、人の意識を変えるのは難しい。この映画からさらに60年が経った今でも悲しいニュースが後を絶たない。
ITに馴染みがなく、新しいものに抵抗がある年配層の意識を変える難しさという点ではテクノロジーと似ている部分もあるが、ゼロをプラスにするのではなく、アメリカ南部の人々の心に残っているマイナスをプラスにしてあげなければいけないという点では、差別問題は全く似て非なる物である。
彼らが本当の意味で市民権を得るためには、一人一人の体験が必要だ。それは黒人ピアニストによるピアノの演奏かもしれないし、黒人に仕える白人の努力かもしれないし、黒人も白人も関係ない誰かの行動によって得られる第三者の体験のことだ。
「国のために何ができるかではなく、自分のために何ができるのかを問え」というトニーからドンシャーリーへの言葉は、JFKのスピーチに150度くらいの反転を加えたものだが、ドクの安全と人権を守る意味でもあり、その先に自分や周りの人を幸せにする世界線を期待させる一言でもある。マイインターンのデニーロもそうだが、かけて欲しい言葉をかけてほしいタイミングでかけてあげると、それだけで救われるドクの気持ちを考えて胸に来るものがある。

黒人であるためにレストランでの食事を拒否されたことで最後の講演を辞退した。そのあと二人で飲みに行った黒人が集うバーでのセッション(しかも黒人はタブーとされたクラシック音楽)の場面は見てるこちらも楽しくて気持ちも明るくなるシーン。
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