mrかっちゃん

グリーンブックのmrかっちゃんのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.4
こんなクソったれな世の中だけど捨てたもんじゃない。
世間の流れに逆らいにこやかに中指を立てた、最強いや最高の2人による珍道中バディムービー。

黒人に対する差別が色濃く染み付いていた時代に差別が最も酷いアメリカ南部へコンサートツアーへ向かう黒人天才ピアニスト
ドクターシャーリー。
用心棒兼運転手として品が無く人種差別の文化が当たり前になっている環境下で育ったイタリア系アメリカ人のトニーを雇いツアーを敢行する。

実話を基した映画ですが、脚本の綺麗にまとまった構成もあり、笑いと友情で王道のロードムービーを展開しつつもディープサウスへ行くにつれて差別の闇へと深く潜っていくことになる。
全く無駄が無く美しい起承転結。
さすがだなと言わざるを得ない。

劇場が笑いに包まれる瞬間が何度もあり、コメディ映画出身の監督のリズムに気持ちよく乗せられていた。
ケンタッキー食べたくなります。

そして徐々に見えてくる黒人差別の恐ろしさ。
キャサリンビグロー監督の「デトロイト」がホラーとして見事に表現していますが、今作ではその差別が日常化していることの深刻さが、伝わってきた。
バーに入っただけで殴られレストランや紳士服店では入店を拒絶される。

現代では表面的な差別は無くなりつつあるが、現トランプ大統領の影響もあり人種間の壁が崩壊しつつある。
「移民は受け入れ拒否だ。入国禁止するために壁を作ろう」
冷戦時代へ逆戻りしようとしているのかと恐ろしくなる。

白人、黒人、黄色人種そんな人間を肌の色で分けた言い方がある時点でおかしいと思う。
区分だと言われたそうかもしれないが、同じ人間なんだから分ける必要なんて無いだろう。

見た目や生まれじゃ無くて中身を見ようよ。
大切なものはそこにある。