安心安全。予想通りの展開、予想通りの結末。なんていうと否定的に聞こえるけど、万人に勧められる良質な作品で、純粋に楽しめた。
黒人と白人。富豪と庶民。まあなんとなく見たことあるような2人のキャラ造形だったり、バックボーンだったりなんだけど、それでも南部ツアーの道中2人が繰り広げるやり取りは楽しいし、謂れ無い差別には怒りが込み上げる。トニーとドン、どちらも実在の人物で、こんな時代に実際にコンサートツアーを成し遂げたという事実が一番すごいところ。
お腹にたっぷりと肉をつけて、自身とはかけ離れた役柄を演じたヴィゴ・モーテンセンも良いが、やっぱマハーシャラ・アリが凄い。白人からも黒人からも遠巻きにされ、孤独にピアノと向き合ってきた彼が最後に演奏した場所と曲。黒人でも白人でもなく自分らしさを貫いた彼の生き様には感動せざるを得ない。
アカデミー賞作品賞を獲ったとき、スパイクリーがごちゃごちゃ言ってたのもなんだかなーとも思ったが、まあ確かにあまりにも綺麗にまとまりすぎてて、鼻白んでしまう気持ちも分からんでもないかな。普通に良い作品なのに、あまりにも王道な作りでこれがオスカー作と聞くと首を傾げてしまうのも分かる。作品賞はROMAにとってほしかったな…
何度も言うけど、普通に面白かったし、普通に感動出来るから、誰にでもおすすめできる作品なのは間違いない。ハードルを上げすぎず下げすぎず行くのが良いかと。
