Gena

グリーンブックのGenaのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.0
見逃してた本作が早稲田松竹にて上映していたので観に行ってきました!
とってもいいものを観た気分♡ 同時期に公開していたブラックグランズマンより断然好みだった。

人種問題を乗り越えた友情についてはみなさんレビューしてるので割愛して。

私にはこれが ドクのアイデンティティの旅の物語に思えて仕方がなかった。主要な骨格が人種問題なら、こちらは大きな筋肉という感じ。

差別の根強く残るあの時代に、ずば抜けて教養ある黒人家庭に生まれ、白人の中で育ってきたドク。
ピアノが弾けてチヤホヤされても音楽を離れた場所では白人になれるほど白くはなく、まったく馴染みのない大衆的な黒人文化に混じれるほど黒くはない。
あんなに多様なアメリカの中でも所属できるグループがないこと。
人間以下だとまで言ってのけたドクの孤独が辛かった。

トニーがニューヨーク下町のイタリア系の大家族の生まれで、地域の中にも家族の中にしっかり組み込まれているのがまた対照的で。
単細胞なトニーはそれが当たり前で、人間らしく、明るくカラッと生きてる。

そんなトニーの何気ないアドバイス、辛いとき、寂しいときは自分から手を伸ばせというのはほんとにそうだなと思った。

ドクが少しづつユーモアとアイデンティティ、そして意思を取り戻して行く姿が、あの時代の何重もの差別に苦しんできた人の再生の第一歩を見ているようです、とてもよかった。
トニーが少しづつドクの人格を認め、立場を共有してパートナーにまでなっていく様も。

つくづく思うんだけど、人間が変わっていく映画って本当に面白いよね。
変わらぬものなど何ひとつない。そして人を変えることができるのは、たいてい別の人間だってこと。最高のヒューマンドラマ。
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