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少年の君のGenaのレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.4
2011年に高校三年生ということなので、私はまた同世代の映画に出会った

ひりひりする。
深い谷の底みたいな街で、大量の学生が受験のために狭い空間に閉じ込められている。
ほかに行ける場所もなくて、受験だけがこの世界から抜け出せる切符。
この場所から出たい。切実な気持ちをありありと思い出せる。

その一方で、この映画をみて自分が歳をとったとも思った。
まだまだ若いつもりでいたけれど、10代と20代は絶対的に違う種類の人間。
そのことがこの映画には描かれていたように思う。

刑事の言った「俺たちは他人の殺人の罪なんて被らないが、彼らはやる」このセリフにハッとしてしまった。
よく言われる若者の「危うさ」「過激さ」とは、純粋さのことなのではないかと思う。
それを失って皆大人になる。

あの刑事が最後まで粘ってくれたのがよかったな。
それによって物語は「白夜行」や「容疑者Xの献身」とは一線を画すものになっていると思う。

10代最後のとても純粋な人間関係が描かれた作品は尊い。

追記:私だけかもしれないけど、いじめのシーンはあまり臨場感というか自分ごと感が感じられなかった。もっと醜く描き出している映像は他にもある。それはそれで見るに耐えないんだけど。。。なんにせよ、いじめもある種の「魂の殺人」であることには変わりない。今話題の人も、現在進行系で加担している人も正しく裁かれ、反省してほしいよね
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