いののん

グリーンブックのいののんのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.5
もうめっちゃ好みの映画!
好き好き大好き!
私はもうどうせ甘ちゃんなんだからそれでいい。


クソ真面目で融通がきかないドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)と、嘘つきじゃないけどデタラメなトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)。


ピアニストで知的で教養たっぷりなアリと、イタリア系でファミリーの結束も強い粗野なヴィゴ。この2人の珍道中。景色も美しいし、車の色も美しい。どんどんディープな中南部へと走って行く。そこは黒人差別が色濃い場所だ。時は1962年。


富裕層に位置するであろうアリを、じっと見つめる、おそらく貧困層に位置するであろう黒人たちの眼差し。どこにも属せないアリの孤独が浮き彫りになるシーンだ。


アリをある場所に迎えに行った帰り、ヴィゴが放つひと言。俺はナイトクラブで働いてきて、色んな人をみてきた。だからわかる。人間は複雑だ。
なんも考えてないかのように見えるヴィゴの、経験や見識の深さが浮き彫りになるシーン。ヴィゴはただ殴ってここまできたわけじゃない。
こういうちょっとしたシーンの積み重ねが絶妙だ。


途中からこの映画は、最近観た「許されざる者」と繋がっていると感じ(きっといつもの思い込み)、ひとりで盛り上がってコーフンした。怒りは、普段は隠している、あるいは、自分でも気づいていないその人の心をむき出しにさせる。アリとヴィゴ、2人は、自らの、そして互いの怒りをなんとか抑え、それを制御しようとさえする。ガマンして怒りを抑えようとする。私にはそれがもの凄く崇高なことに思えた。怒ることはもちろん大事だ。でも、怒りよりも、ずっと深い悲しみや絶望を、アリは抱えてここまで生きてきたんだと思う。そして、そのことをわかってくれる友に出会えたら、それはどんなにすてきなことだろう。


未だに差別も偏見もなくならない。先入観は人を頑なにさせる。でも、それは乗り越えていくことができるんじゃないか。素直にそう思わせてくれる映画だ。フライドチキンは手をベタベタさせて食べたいし、ピザだって全力で食べたい。でも紙コップは道路に捨てちゃダメ、絶対。


私は今、大事なものをこっそり、
ポケットに入れて、持ち帰ってきた気分だ。
これを見るだけで、
あたたかくて幸せな気持ちになる。
ステキな色をしてるんだぜ。
これがあれば、大丈夫、
運も味方してくれるだろう。
私はそれを、お守りにしていこうと思うんだ。
いののん

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