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いろとりどりの親子のditaのレビュー・感想・評価

いろとりどりの親子(2018年製作の映画)
3.5
@シネ・リーブル梅田   

愛に泣いた自分と圧倒的な隔たりを感じた自分がいた。個性とか多様性ということばすらふさわしくないのかもしれないと思った。

隔たりと書いたのは、ダウン症の彼が出会った親友たち、自閉症の彼が出会った言語療法士、低身長の彼女が出会った仲間とカップル、専門的な知識があったり同じ境遇だったり、結局分かり合えたり認め合えたりするのは関連のある人なんだなと思ったから。でも、それはあくまで確率の問題であって、同じ趣味を持つ人、お世話になっている人、よく会う人、わたしだって同じだなと今書きながら気付いた。

こういうテーマの作品はどうしても「障がいのある人やマイノリティの人といわゆるマジョリティがどうやって共存していくか」を着地点にすることが多いと思うけど、この作品の着地点はそうではないと思った。
きっと原作者(取材者)がマイノリティ側の人だからなんだと思う。親でさえ受け入れることが困難な問題を他人が理解することはもっと難しいことをわかっていて、だからこその「幸せは人それぞれ」なんだと思った。「一緒に幸せな社会を」ではなく「わたしはわたしで幸せになるから」と言われている気がした。

「親は子をどうしたって愛してしまう」については、愛していることを子が受け入れられなければ愛に意味はないと思っているのでわたしからは何も言えない。まぁこれは仕方ない、人それぞれやし。わかってもらおうともわかろうとも思わない。

前に何かで書いたかもしれないけど、「普通」について悩んでいた頃に医者に言われた「一般的に標準=普通と言われている顔のパーツを集めてモンタージュ写真を作っても、それは普通の顔にはなりません、あなたが悩んでいる普通ってそういうものなんですよ」ということばをずっと心に留めていて、普通が集まったから普通なんじゃない、ひとりひとりが普通なんだから集める必要も一つの形にする必要もないとずっと思っている。

自分は自分、他人は他人。単純に「だからどうした、お互い頑張ろうや」と「普通」に言える世の中こそ理想なのかもしれない。
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