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劇場版『えいがのおそ松さん』のblacknessfallのレビュー・感想・評価

3.7
おそ松さんがすごいのは丸っきりキャラの書き分けがない『おそ松くん』の六つ子にそれぞれ個性的でキャッチーな性格付けをして顔も特徴付けてブラッシュアップして蘇らせたことだよな。
赤塚不二夫先生はそれが出来なくて企画倒れになってチビ太やイヤミ、デカパン、ダヨーンとかのパンチのあるサブキャラをメインにして最終的六つ子が添え物になる展開になってるからね。赤塚不二夫先生はそれでもおもしろいってのがすごいし、結果的にイヤミが国民的な人気キャラになるし、やはり天才なんだろうな。

それはともかくおそ松さんの映画版、テレビ放送で色々やり尽くした感があったからどうするのかと思ったら、六つ子の中の1人のイマジネーションの世界に閉じ込められるというトリッキーな話だった。
テレビ放送も過去の映画やドラマのパロディやオマージュが多かったから、物語の構造を『うる星やつら ビューティーフルドリーマー』から拝借するのはセンスがいいなと思った。

ストーリーも六つ子の1人の高校の卒業式のある後悔の念が肥大化したことで全員がイマジネーションの世界のその日に迷い込み、誰の世界なのか?その後悔とは何なのか?を探ることで過去の自分を見ることになり、忘れていた自分達の気持ちに気づいていくという。エモい青春モノと言った感じで今までになって、ないテイスト。

六つ子達やトト子やチビ太達の若い頃の姿が見れて嬉しい。ファンサービス的にも成功してる。
ただ、上映時間の割にギャグが少なめでエモいパートが増えてメローで有りがちな感じになってる気がした。もっと普段どおりのスピード感でバカな会話やギャグが見たかった。

まあ、でも、本当に確固たる人気を獲得してるわけでアイドル映画みたいなもんだから、これでいいのかな笑
しかし、今作も『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のパロディがあったりで、どう考えても大人というか中年向けな気がするんだけど、何で若者に人気なったのかよく分からない。
ニートや童貞に対する距離感、弄りかたが琴線に触れるのかな?テレビ放送でも思ったけど、ニートや童貞のギャグってかなり辛辣で現在同じ境遇の若者は見てて辛いんじゃないかと思った。だけにヒリヒリしておもしろいのか?
ニートも童貞もポップ化した反面スティグマ化してる気がした。笑いながらも、これっていいのかな?って引っ掛かりが…
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