のこ

ジョーカーののこのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.3
退廃したゴッサムシティで母と暮らすアーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)。コメディアンとしてテレビ出演を夢見ながら、体の弱い母を献身的に支える優しい男である。ある日ピエロの格好をして街中に繰り出すが、若者にバカにされ、持っていた看板を壊されてしまう。精神病を患っていることもあり、思うようにいかない人生に辟易しているようだった。

自分の意思に反して笑ってしまったり、怒りが抑えられなくなったり。物語の初めのアーサーは精神疾患に抗っていたが、次第に抑えられない"狂気"が増して殺人行為を繰り返していくようになる。そんな自分への愛情も少しずつ増していったように見えた。

物語の序盤はアーサーの優しさや生きづらさに同情していた。しかし同僚から受け取った1つの銃をきっかけに狂った様子を見て、その気持は遠のいた。心優しい男から、ジョーカーに変貌を遂げたアーサーは見るに耐えなかった。彼にメンターがいたら、悪のカリスマにならずに済んだのではないか。

最後まで目が離せない映画だった。
のこ

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