あさのひかり

ジョーカーのあさのひかりのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.8
めちゃくちゃ悲しいのに全然泣けなくて、コメディ番組撮影のシーンで、よく考えたら大して面白くもないのに笑ってしまった。何?私も感情表現が彼よりなの?と自問自答せずにいられなかった。単にドライアイなので涙がでなかっただけかもしれないのだけれど。

辛くて苦しくて悲しくて受け入れたくないのに受け入れるしかなくて、その感情を発散するには笑いしかなかったのかな。泣いたってきっと、誰にも受け入れたり慰めたりしてもらえなかったんだろうし。

帰り際、目の前を通った他のお客さんが「良かった・・・全然怖くないじゃん」って言ってたのは全く同感。私も彼がある意味全然怖くない。

自分の心の暗い部分にずどんと重石を投げつけられたような、そしてそれはどういうことか分からないのに、それで結構大事なことのような、観終わった後の感じとして、何だかそんなのがある。


追記

2回目観たら全然違う気がして観てきたんだけど本当にそうで、確かにこれ喜劇だ!ってなった。そして1回目以上に笑い、そしていろんな意味で「この映画やっぱり怖い、やばい」って感想に変わった。

泣けないのは当たり前で、泣くように映画がうながしてこないから。「え、これドリフのコント?あ、このシーンコメディ映画でごまんとあるやつじゃん?」って、最初はアーサーの悲劇に気が向いてて気がつかなかったけど、そんなシーンがあちこちに散りばめられてる。

そんなことに対して、「あ、これおかしい(笑うほどじゃないけど違和感)」が積み重なって、マレーのコメディ番組のシーンで、「さあ、笑いなさい」って促されるからあそこでつい笑っちゃうんだ、って気がついた。

・・っていうか、トーマス・ウェインが開く慈善映画上映ね、モダン・タイムズのセリフで喜劇と悲劇がどうとか、っていう以前の話よ。金持ち集めてあの内容の映画上映して、不満を高めてる貧しいゴッサム市民は無視、っていう時点でもうきっついブラック・ジョークじゃん、って話よ。以下続きコメント欄に。
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