atsuki

ジョーカーのatsukiのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.0
すべてが主観であるとすれば、仮面を被ることは正しいと思う。それは隠れることではなく、むしろ「何ものも道化師の鈴つき帽子ほどにわれわれのためになるものはない」とある。付言するために尚も引用しておけば「自分自身を眺めやったり見下ろしたりすることによって、また、芸術上の距離をとってわが身の上を嘲笑ったり欺き泣いたりすることによってしばしのあいだわれわれはおのれ自身からのがれて休息せねばならない。われわれの認識の情熱の内に潜んでいる主人公をもまた道化者をも、われわれは発見しなければならぬ。(…)われわれが究極のところ重苦しい生真面目な人間であり、人間であるというよりむしろ重量であるがゆえにこそ、何ものも道化師の鈴つき帽子ほどにわれわれのためになるものはない。われわれは、自分自身に対して身をまもるためにそれを必要とする」ということは——DCコミックに登場するヴィランという固有名詞ではなく—— ジョーカーになることで、それも複数の人物によって「道徳を超えて上に立つことができる」のだ。つまり、彼らは狂人ではない。狂人なのは、テレビで政治を語るウェインや『モダン・タイムス』を見て笑う富裕層たち。何ならマレー・フランクリンでさえも。
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