主演の女優が十代から母親になるまでの半生を演じているのだが、話が進むにつれて明らかに経験を積んだことによる演技の変化が見て取れる。歩き方ひとつとっても、はつらつとした若い頃とは違い、粛々と目の前の問題を解決しようと懸命な歩みなのだ。
ライトに物事を考える父親(男性)とは裏腹に、母親は現状の苦しさに懸命に立ち向かう。息子にママと呼ばれない悔しさが痛々しく画面に映し出される。
アストリッド・リンドグレーンに宛てられた子どもたちからの手紙の文が随所のシーンで挿入され、アストリッドの人生が彼女の作品を紡がせたのかと思いを寄せずにはいられない。
農作業中にじゃがいもを家族で投げ合う微笑ましいシーンで父親が発した、「ポテト戦争」という語呂のよすぎるワードが頭から離れませんでした。