劇場スルーどころかレンタルや配信されても今更見るくらいの期待値だったので驚くくらい面白かった。
ハイテンポでポップな演出はやり尽くされた感が多少あるけどそんな懸念をふっ飛ばす演出さばきの鮮やかさが良かった。
血生臭いアクションもいい。柔軟なバネを使った足技や全力で振り切る打撃、一発の力は弱くても何度も繰り返して叩きのめす手法など、ムキムキな男性を相手に女性が無双する描写に違和感を感じることなく楽しめる。
個々のキャラも立ってて「女性の自立」を軸に団結していくドラマの流れも丁寧。
というのがあまりにも綺麗にまとまりすぎてて教科書的な味気なさがある。アクションもドラマもキャラも感心こそすれテンションは上がらない。
近年の「ゴーストバスターズ」「ターミネーター:ニューフェイト」やらのジェンダー映画の総決算的なファイナルアンサー感のある完成度だったけど、面白さは抜きにしてその点は「キャプテン・マーベル」が一番成功していると思う。そこに切り込んだ部分も上手いんだけど、上手いからこそ上手さを感じてしまう部分が映画を楽しむ上である意味ノイズになるというか。現代で扱うには慎重にならざるを得ない繊細なテーマをポップなノリでエンタメに昇華してるところも、着眼点もアイデアも完成度も全部綺麗にまとまりすぎて、そこにまず感心してしまって純粋に楽しめず。
不満はないけど味気ない。好みの領域かな。個人的には物足りない映画でした。
