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アド・アストラのmanamiのレビュー・感想・評価

アド・アストラ(2019年製作の映画)
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数年後か数十年後か、未来のクレイジージャーニー。いやマジでクレイジーすぎるよ、ロイ少佐。宇宙エレベーターか何かの事故で奇跡的に生き残るシーンから始まって、その事故を引き起こした原因を解決するために「遥か彼方」を目指す話なんだけど、まず道中でトラブルが発生しまくる。
救難信号からの悲劇は何かの伏線かと思ってたら、その後は言及されこそすれ特につながりもなく、ただただ不幸で、ひたすら心臓に悪いだけというね。
火星も怖いわー。心理検査の結果が思わしくないとき入るように促される部屋は、一瞬きれいなんだけど、その不自然なまでの自然の押しつけにだんだんゾワゾワくる。所長もやけに不気味だし。
セリフも映像も全体的に説教くさいというか。どこかの宗教の教えを映像化しました、って言われても信じちゃいそうなメッセージ性、そして観念的かつ抽象的。「宇宙」を科学の目ではなく精神論で語っている。
冒頭とラストでの、ロイのモノローグも印象に残る。同じ語りで始まりつつ、後半の違いで彼の心情変化を際立たせる。「遥か彼方を見ているのに、目の前が見えていない」のは、自分のことでもあったと。人に頼らず生きていけることが強さだと、自分はそれを持つ側の人間だと信じていたけれど、何億光年も離れて「孤独」を知ったことでようやく変わることができた。

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