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足跡はかき消してのらのレビュー・感想・評価

足跡はかき消して(2018年製作の映画)
3.8
デブラ・グラニクの前作『ウィンターズ・ボーン』と同様に決定的な盛り上がりのようなものはないし、深く描けそうなところにもあえて踏み込まない。それだけに余韻が素晴らしくて、静かにじわじわと胸を打たれる。

父のウィルが森の中での生活にこだわっているのも、カウンター・カルチャー的なロマンティシズムや哲学的な理由でなく、帰還兵としての疎外感やPTSDの影響である(ここにも映画は深く踏み込まず、ゆるりとその影が全体を支配する)ところにより重たいリアリズムを感じる。『はじまりへの旅』のラストよりも断然好きだし泣けます。
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