maninthepanties

夜の来訪者のmaninthepantiesのネタバレレビュー・内容・結末

夜の来訪者(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

産業革命期のイギリスが舞台。
富める者はますます富み、貧しい者はただ野垂れ死ぬ時代。

搾取に翻弄される貧しい労働者と、己の利益を優先する富豪の雇用主。

富豪の家。
娘の婚約を祝う夜に突然現れ、ある1人の貧しい女性の自死について話す警部。

静かな熱を帯びた警部の尋問で、その場にいる上級国民達全員が、貧しさに追い詰められていった彼女の死に関わっていたことを自覚させられる。

警部が叱責し、それぞれが彼女の死を考え反省を促すように立ち去った後も、自分たちのせいではないんじゃね…?と都合の良い解釈を続け、楽観する。

最後の最後、彼女の死にゆく瞬間を静かに看取っていた警部は忽然と姿を消す。

あまりに普通に存在しすぎていた警部は、ただの正義感の強い警部だったのか、もしくは彼女の貧しさを哀れんだ死神(悪魔=グール)だったのか、はたまた彼女が唯一信じることができた神様だったのか。
僕達人間の中にあるだろうはずの善意思そのもののようにも見えた。

ほぼ室内での警部と家族との会話のみで構成される密室劇で、「彼女」との思い出のみが室外撮影。

どんな悪魔や死神よりも醜い、人間性を描いた映画。

脚本が見事すぎる。