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青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ないのkitoのレビュー・感想・評価

4.0
非常に面白く、TVシリーズ全13話と劇場版を二晩で一気見した。

Amazonでつらつらメニューを見ているうちにタイトルの”青春ブタ野郎”というワードに食いついてしまった。”ブタ野郎”とはなんともアレだけど、内容はといえばSFファンタジーな青春ラブコメといったところ。

1話25分のTV版は2、3話単位でエピソードが完結するオムニバスで、鴨志田一の原作ライトノベル1~6巻がベース。思春期の不安定な精神状態によって引き起こされるとネットで噂の”思春期症候群”なる架空の病気が出てくる。そのせいでいろいろな超常現象が起こり、主人公たちが解決に奔走するというお話。

原作6、7巻がもとになる本劇場版はTV版の当初から出てくる主軸の伏線が回収され、シーズン全体のクライマックスになる。TV版最終話でそれまで主人公の思い出でしかなかった初恋の女性が現実に現れ、この続きは劇場で、という流れ。なので、本劇場版だけを観ても何かとわかりづらいだろう。原作のライトノベルは漫画化、アニメ化のメディアミックス展開されており、新作劇場版第二弾が公開間近。

主人公のブレイン的友人で科学部のリケジョが量子力学の ”シュレディンガーの猫” や ”ラプラスの悪魔” を解説してくれる。各種SFエンタメ作品で引っ張りだこな ”量子力学界のアイドル猫” が出てきて、コレはきっと当たりだろうと直感。

シリーズ全体の雰囲気がカルト人気作「涼宮ハルヒの憂鬱」に良く似ていて、一部の考察サイトがかまびすしい。まあ、創作活動では先行者にインスパイアされ似てしまうのは古今東西、仕方がない気がする。

舞台は湘南で海岸と藤沢駅がよく出てくる。そう多くはないけれど何度か遊びに訪れており、見覚えがあって懐かしい。ただ、シリーズ終盤にかけて作画がときおり少し安っぽくなり気になった。いまや「鬼滅の刃」のあの超美麗な画を観てしまったので、その点はどうしてもマイナス評価になる。

その一方、主人公の男子高校生がなかなか小気味良くシャレオツな言動を繰り出し、その少しハードボイルドっぽい感じは大きな魅力になっている。セリフが良いのはやはりワードで勝負の小説が原作だからだろう。

本劇場版はタイムトラベルがテーマで、いかにも「バックトゥーザフューチャー」風な展開。ただ、コメディタッチではなく病気や事故が関わってくるシリアスな内容で、"究極の選択"を迫られる。過去の改変が未来を変えてしまい、記憶も書き換えられるというお約束のラストだが、さすがラノベという感じの爽やかなエンディングでホッとした。
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