このレビューはネタバレを含みます
差し込まれるペン書きのイラストがとてもポップで、色彩もカラフルなのに、全体としてアジアの湿度。ちょっと騒がしく、心が乱されるドラマでした。
主人公は多分「妻」。
男に取られた夫は、挙句ガンで亡くなり、保険金の受け取りは自分や息子じゃなくその男。
家のことも子育ても、手抜きなくきちんとやりたいのに、思春期の息子は全く自分のことなど理解してくれない。あろうことかその男の家に逃げてしまう。
演劇をやっているその男、ジエ。チャランポランに見える彼を、なぜ夫は選んだのか。少し謎解きのようであり、泥臭い人間ドラマでもありました。
取ったわけでも取られたわけでもない。ただ好きになったり、一端に世間体などを気にしたり、愛情を注いだだけなのだ。
でもズルイよ「夫」。
みんな振り回されてるじゃん。
なのに回想で出てくる姿はただただ純粋。
チャランポランに見えるジエですが、心の底から「夫」を愛していたことが徐々にわかってきます。悲しさを隠すためかな。回想の彼はあまりにも一途でキュートだった。
「妻」、そりゃヒステリックにもなる。だって何も知らなかったんだもん。自暴自棄にもなるよね。許す。誰かを傷つけようとして実際そうするんだけど、あぁ、愛なんだ、と気づいたのではないかな。
ラストは、100日目にしてみんな心が軽くなったようにみえました。
先に愛したのだから仕方ないね。
人を好きになる気持ちは
誰にも止められないのだから辛い
でも幸せ
だから面白い
ストレートなシナリオではないが故に余韻に浸れる台湾ドラマ。妻や夫、男、そして息子の立場で思い返しては、新たな気持ちが呼び起こされる秀作でした。