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先に愛した人のNYoLoのネタバレレビュー・内容・結末

先に愛した人(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

差し込まれるペン書きのイラストがとてもポップで、色彩もカラフルなのに、全体としてアジアの湿度。ちょっと騒がしく、心が乱されるドラマでした。

主人公は多分「妻」。
男に取られた夫は、挙句ガンで亡くなり、保険金の受け取りは自分や息子じゃなくその男。
家のことも子育ても、手抜きなくきちんとやりたいのに、思春期の息子は全く自分のことなど理解してくれない。あろうことかその男の家に逃げてしまう。

演劇をやっているその男、ジエ。チャランポランに見える彼を、なぜ夫は選んだのか。少し謎解きのようであり、泥臭い人間ドラマでもありました。

取ったわけでも取られたわけでもない。ただ好きになったり、一端に世間体などを気にしたり、愛情を注いだだけなのだ。



でもズルイよ「夫」。
みんな振り回されてるじゃん。
なのに回想で出てくる姿はただただ純粋。


チャランポランに見えるジエですが、心の底から「夫」を愛していたことが徐々にわかってきます。悲しさを隠すためかな。回想の彼はあまりにも一途でキュートだった。

「妻」、そりゃヒステリックにもなる。だって何も知らなかったんだもん。自暴自棄にもなるよね。許す。誰かを傷つけようとして実際そうするんだけど、あぁ、愛なんだ、と気づいたのではないかな。

ラストは、100日目にしてみんな心が軽くなったようにみえました。
先に愛したのだから仕方ないね。

人を好きになる気持ちは
誰にも止められないのだから辛い
でも幸せ
だから面白い

ストレートなシナリオではないが故に余韻に浸れる台湾ドラマ。妻や夫、男、そして息子の立場で思い返しては、新たな気持ちが呼び起こされる秀作でした。
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