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運び屋のkassyのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
3.6
試写会にて。

仕事や外の世界にかまけて家族を顧みなかった主人公アールは、90歳にして大切にしていた仕事を失い、家族にも疎まれる存在で孤独であった。ある日車を運転して運ぶだけで金になると紹介されて始めた仕事は、実は麻薬の運び屋だった…

クリント・イーストウッド最新作で久々の監督主演作。
ポスターがモノクロで、運び屋という固そうなタイトルなのでシリアスな話に見えてしまいますが、見てみるとメインストーリーはコミカルで思ってた以上に笑える映画でした。主人公の爺さんがかなり自由で、悪に手を染めて激ヤバ組織とつるむ羽目になるのにどこまでも陽気。
90歳になっても若い子ちゃん侍らせまくりで、若い組織の人間に自由すぎて呆れられたり。
主人公に悪い事してる感は微塵もありません。
ただ、彼の後悔は家族を失ってしまった事。仕事と家族の狭間でとった彼の決断やラストの締め方は、納得のいくものでした。男の哀愁を漂わせたクリント・イーストウッドはやはりかっこよかった。

しかし、最後まで主人公アールがどこまで考えて犯罪に手を染めてたのかはイマイチよくわからない作りではありましたね。犯罪を犯す事に対しての後ろめたさ、家族に対してどう思ってたのか?という事は謎だったので、爺さんは「頑固(原題)」というより「呑気」だったな、という印象の強い映画でした。

彼を追う捜査官としてブラッドリー・クーパーが出てきますが、アールが危機感なさすぎてあまり映画に緊迫感はもたらしていません。クライム映画というよりは、爺さんのロードムービー感が面白い映画ですね。
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