mrかっちゃん

運び屋のmrかっちゃんのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
5.0
「記念日は大切にしたほうがいい、俺は今まで蔑ろにして生きてきた。
大切なのは家族だ。それをいま、ようやく気づいた。」

映画界が誇る生きる伝説クリントイーストウッドの監督最新作でほぼ10年ぶりとなる主演作。
90歳を超えたお爺さんが車を運転し、麻薬密輸を行った衝撃の実話を自身の私生活と照らし合わせ身を委ねるかのように懺悔し
人生の選択をした味わい深い作品

88歳を迎え年齢的に最後になってしまうのではないかと思う監督の長いキャリアの中で培った経験と技術と確固たる自信から生まれる堂々としていながらも、どこか可愛げがあり、人間性が自然と滲み出るさすがとしか言いようがない貫禄の演技。

クリントイーストウッド監督の作品を取り上げるたびに職人技だと毎回表現していますが、その手腕は健在でもう何も言うことはない。

脇を固めるキャストも過去の作品で主役を務めたブラッドリークーパーや人気のマイケルペーニャなど手堅く賢い適材適所なキャスティング。
普通、監督からオファーが来たら断る人なんて居ないかw

主人公アールの娘役としてキャスティングされている女優さんはイーストウッドの実の娘で、劇中では家庭を顧みない父親と絶縁状態という設定になっています。
実の親子で劇中でも親子として共演していますが、これにはイーストウッド自身のパーソナルな感情がこもっています。

彼は女性関係が派手で数々の方と、関係を持ち2回結婚していながらも5人の女性の間に8人の子供がいるという破天荒すぎる人で、映画スターとして評価される事で、人間としては酷いとしてもいずれ家族に認めてもらえるのではないかと思っていたそうですが、それは間違いだったとインタビューで語っていたのを読んだことがあります。

監督が今作を通じて伝えたかった事を踏まえると人生観そのものを考え直すきっかけにもなるし、とても多様性がありそれでいて揺るぎない信念と自信に満ちた新たな代表作の一つだと言える。