字幕版を鑑賞。
近年稀に見る「いい気なもんだ」映画。
「老人がひょんな事から麻薬の運び屋になってしまう」という物語の設定は実話を基にしているが、主人公の人物造形はどう観ても監督・主演であるクリント・イーストウッドそのもの。
そんな男が、これまでの見栄っ張りで女にだらし無く身近な人々を顧みなかった生き方を懺悔して、あまつさえ確執のあった家族(演じているのは実の娘)から許しまで与えられる始末。
もし、生前のソンドラ・ロックがこれを観たらどんな感想を抱いただろうか。
しかも、そんな厚顔無恥な身勝手映画がすこぶる面白いのだから、一層タチが悪い。
また、10年前の「グラン・トリノ」ではまだ矍鑠としていたイーストウッドが、今作では端々に"老い"を感じさせるのも、むしろ味わいになっていて老人映画好きには堪らない。
今でも年一作ペースで新作を撮っている多忙なイーストウッドだが、自身の監督作でなくても良いので、もっと「老優イーストウッド」の新作も観てみたい。