実際の事件にインスピレーションを受けたというクイント・イーストウッド監督・主演作品。90歳の主人公をこれだけ活き活きと自然に演じられるのはこの人だけか。
主人公アールは仕事一筋の人生を送ってきた結果、妻や娘と疎遠になってしまった孤独な老人。園芸農家として高い人気があったが、ネット販売の波に押され経営が行き詰まり彼の農園は差し押さえられてしまう。車を運転するだけの仕事を紹介され、気がつけば麻薬の運び屋になってしまっていた。
家族から（孫娘を除く）は邪険にされながらも生来の陽気さとマイペースで周囲を巻き込み、麻薬カルテルでも一目置かれる存在になっていく、その過程が楽しく、この映画を意外と明るいトーンにしている。アナログ主義の老人あるあるも嫌味のない形で盛り込まれ、黒人に対して言ってしまう何気ない一言も憎めない。
徐々に家族との溝は埋まっていくも時間は当然買い戻せない、道すがら出会う自分を追う麻薬捜査官やカルテルの構成員にも後悔しない生き方を諭すようになっていく。なんて格好良いジジイだ。
劇場で本作を母親と一緒に鑑賞した後、「外国人のオッパイって凄いね！」って話題で盛り上がりました。
