ピアニストにとっての「音楽」って何なのか、それを言葉少なくも映像で表現しようとしたのは素晴らしい。
登場するのは「神童」「完璧」などと称される若きピアニストと、とにかくピアノを弾くことを愛してやまないピアニスト。
コンクールを舞台に、お互いに影響を受けて、共鳴していく姿は、実に苦しくも美しい。
コンクールが舞台であるものの、相手を蹴落とそうとしたり、審査員に取り合ったりするわけではなく、内なる感情との対峙に重点が置かれているのがいい。
登場人物の背景が深く描かれることはないものの、それぞれの人生が音楽に反映されているのだなぁ…と観るものの想像力に任せられている。
音楽がその想像力を豊かにする… 映像の力もあるがそんなことを感じさせてくれる。
個人的には松岡茉優と鈴鹿央士の連弾シーンが美しくて息が止まった。
こんな美しい映画、なかなかないと思う。
原作、読まなきゃな。