このレビューはネタバレを含みます
【制服の威力】
人は見た目が◯割ですか…。
まず外見で騙され、少し怪しんでも態度で信用してしまう。
ブラックコメディのような、本当にあった怖い話。
良い邦題ですね。
生き延びるためなら何でもする。
脱走し、略奪し、別人になりすます。
なかなかズル賢い主人公。
そこまでならまだしも…。
残酷が故に、それが一層、「総統閣下直々の命を受けている」ことの信憑性を高めているかのようでした。
主人公が弱冠20歳ほどの愚かな若者と知ると、高官の真似事をして、自分がされたことをしてみたかった…程度のノリでしょうか。
囚人と「大尉」の違いは着ている服だけ。
服だけで、境遇が天と地ほどの差が生じてしまう世界。
その中で、権力を騙る者、(嘘と知りながら、また気付かないまま)それにたかる者、傍観するに留まる者、と上手く描かれていました。
略奪者を取り締まると言いながら、自らが略奪軍隊と化していき、本来の性分が露わに。
結局、軍服は彼の華奢な身体と本性を隠していた洋服に過ぎず、どう演じても立派な軍人にはなれませんでした。
泥棒を容赦なく刺し殺す農民達にもびっくり。
非医師の男性従業員が、医師用の白衣を着たがるのも同じ心理ですかね。
服に着られることなく、年齢含め外見に相応しい中身を持たなくては、と思いました。