いかすみ

僕たちは希望という名の列車に乗ったのいかすみのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます


『Das schweigende Klassenzimmer』
(沈黙の教室)

邦題の盛大なネタバレやめてくれ…。
映画の内容は最高でした。

1956年、ベルリンの壁が築かれる前の話。
登場人物は割と多いのに
しっかり人物像が掘り下げられてて、
その分物語もリアルで、
でも自分の送っている日常とはかけ離れてて、
本当に約70年前にこんな場所があったの…?って感じだった。

みんなまだ18歳。
クラスメイトの提案に、
本気で賛同する人もいれば、
面白半分で参加する人もいて、
多数決でなんとなく従う人もいて、
自分の思想とは異なるから受け入れられない人もいて、
興味ないし勝手にやってくれ、
巻き込まないでくれって人もいて…。

映画観てる人も自分の存在を映画の中に
感じられるくらい、色んな人が描かれていた。

友達のため。家族のため。名誉のため。
将来のため。故郷のため。自分の信念のため。

登場人物全員が、複雑な時代の環境下で、
あまりにも多くのものを抱えていた。

朝の謎の号令も別になんともない。
労働階級のお父さんを誇りに思ってるし、
社会主義という思想が嫌なわけではない。

それでも、一人を矢面に立たせるためにクラスを分断させたり、親のことまで持ち出したり、クラスメイトを銃を発砲させるまで追い詰めたり、そんなことでしか人を縛れない姿を見ると、こんな場所に未来はないって思うよなぁ。
問題は思想じゃなくてやり方。
人じゃなくて体制。


ー逃げて 戻ってこないで
 愛してるわ いつも思ってるから 毎日ね

ずっとお父さんに従って何もいえずにいたお母さんが息子を抱きしめながらこのセリフを言ったシーン、めちゃくちゃ泣いた。
その後のお父さんとのシーンもすごく良かった。

というかほんと、全シーン良かったです。
いかすみ

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