一言で表すなら、後味爽やか。ただし、道交法違反2件、火薬類取締法違反2件がさらりと描かれる。純粋な悪はあまり見たいと思わない。
話題の湯浅政明監督の作品ということで、どんな画面作りをしてくれるのか、期待半分、斜に構えた部分が半分。総じて画(え)の出来栄えは良く、特に美術は実写と見紛うカットも。音響も室内の生活音の表現など細部までよく行き届いていたと思う。その一方、説明調のアングルやキャメラワーク(横パン、フォロー)を退屈に感じてしまうカットがあったことも事実で、特に消防士の仕事ぶりを強調したいのは意図としては理解できるが、放水訓練や綱渡りにそこまで尺を使う必要があったかどうか疑問が残った。
洋子が良い。キャラクターデザインも性格も。しかし、現実に考えたら、恋人の妹がのっけからあんな態度だと上手くやっていけそうな気がしない。そこはひな子のポジティブな思考のおかげでその後の展開が成立しているとも言える。
出会いは唐突でもいい。やっている事も若いカップルの定番と呼べるものばかりだ。しかし、まるであの小悪党どもがぶっ放した花火のように、あまりにも短期間に燃え上がり過ぎて、やがて訪れる悲劇が容易に想像出来たというか、終始感情の上っ面だけをなぞっているように感じたせいか、どこか自分の中で冷めたものを抱えたまま港の死を迎えることに。その後、興味の対象は洋子と山葵の関係の方に移ってしまい、ひな子と港の過去にまつわる伏線の回収も印象が薄くなってしまった。
人の役に立つ職業ランキングというものが出てきた。人の役に立つ職業というものは、その役割に相応しい活躍が出来てナンボ。誤ったり、怠ったりして、その職務を遂行出来ない場合は寧ろ害悪となる。出来て当たり前。出来なければマイナス(ゼロではない)。全く諸刃の剣なのである。ひな子はライフセーバーの道を選んだ。選んだからには頑張れ！
