味噌のカツオ

きみと、波にのれたらの味噌のカツオのレビュー・感想・評価

きみと、波にのれたら(2019年製作の映画)
-
これまでにも湯浅監督の作品には見入ってしまっているので、今作も期待はしていたわけですが。
ただ、公開前に伝わってくる雰囲気からすると「大丈夫かな?」と思うところもありまして。

声優のキャスティングであったり、言うなればストーリー大半が事前に出ちゃってるんじゃないの?とか。

でも実際に見てみると、さすがだねと。裏切らないねというのもありますし、テンポがいいのかな。やっぱり見入ってしまうわけで。

基本的にはストレートな恋愛ストーリー。
ある意味ベタベタしててベタ過ぎる感じもあるんだけど。
でも こっちは港が亡くなってしまうという前提で見せられているから、このベタも鼻につかないというか。不思議なもんだね。

そのベタの最たる例が ひな子と港のモノローグのバックで「きゃはは」と笑いながら歌うシーン。
普通のサントラ曲であれば、主人公二人の歌う主題歌がバックに流れるというだけのことだけど、あの笑いながら歌うというのは BGMじゃなくて感情表現になってるんだよね。

菅田将暉と中条あやみがドライブしながら歌ってるCMは なんかムズ痒いけど、今作の二人の時間と感情を表す手段としては、あれは発明だと思いました。

序盤に語られる「彼女はヒーローなんだ」という言葉の意味合いが、途中から別のそれを提示されて あの経緯にはグッと込み上げるものがありまして。
だからこそ ひな子は一歩前に進むこともできたし、やがては妹も影響を受けていき、もちろん後輩の山葵にも…

なるほどそういう思いも込められていたのかというのが見入ってしまう一因でもあったわけですが。

まぁあんな街中に廃墟のタワーが存在してたり、他にもチョイチョイ強引な部分もなくはないけれど。
アニメとしてファンタジーとして向き合えば、すんなりと楽しめる作品。

声を担当した4人も 決して違和感はなかったし。
妹役の松本穂香なんかは新たな引き出し開いたようにも感じました。

さて、この作品の中で“オムライス”がひとつのキーアイテムっぽく登場しますが。
なんといいますか、チキンライスを玉子でくるんだものがオムライスだとするならば。

チキンな私をキミが…黄身が包んでくれている…と思えば、なかなか優しい食べ物やないの?と思った次第。
正しくは黄身じゃなくて全卵使ってるけどね。
味噌のカツオ

味噌のカツオ