symax

私、オルガ・ヘプナロヴァーのsymaxのレビュー・感想・評価

3.7
"サイコパスでも私には見識がある…いつか嘲笑と私の涙を償わせてやる…"

オルガは孤独だ…いつも不機嫌で周囲からは疎ましく思われ、家族とも上手くいかない…自殺を試み精神病院に入院するも、そこでも凄惨なリンチを受ける…ようやくトラックの運転手として働き始めるが、酒とタバコに溺れ毎日身を削るような想いで…ただ…生きていた…

オルガは決意する…自殺か殺人か…そして彼女が選んだのは…

いきなりの休みで三本目…ここで気がつきました…今日は三本共に共通するテーマが…"壊れる"だったなと…

火災によって超高層ビルが壊れる"タワーリング・インフェルノ"…幻覚によって精神が壊れる“イメージズ"…そして本作…なんてチョイスだ…

1973年、プラハで路面電車を待っていた群衆にトラックで突っ込み、8人を殺害、12人を負傷させ、翌年チェコスロバキアで最後の死刑執行となった"スプリーキラー"オルガ・ヘプナロヴァーを描いた作品ですが、オルガが抱いた孤独や疎外感は、あの秋葉事件と同じなのでは?との思いを強烈に感じてしまいました。

一人の孤独な女性がひたすら何かを削りながら日々を生きる姿が淡々とモノクロで描かれ、何故オルガが凶行に走ったのか明確な答えがそこにある訳ではありません。

少し猫背で痩せ細り、いつも不機嫌にタバコをふかすオルガ…その異質さ故にイジメを受け、家族でさえ疎ましく思わせる。

現在の視点から見れば、オルガは所謂、発達障害だったのかもしれません。

死刑執行へと向かう際、それまでと打って変わり、泣き叫ぶオルガの姿を観て、その孤独感と疎外感を痛い程感じ、もっとやりようがあったのでしょうが、結局見捨てられたのが現実だったのでしょう…全くやりきれない思いを強く感じたのでした。
symax

symax