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ビーチ・バム まじめに不真面目のkouのレビュー・感想・評価

3.5
「ガンモ」のハーモニー・コリンの最新作ともなると期待度は上がりきってしまうのだが、今この状況だからこそみたい映画になっていると感じた。どんなに深刻な事態になったとしても、適当に、ジョークとユーモアで、陽気にポジティブにふるまう主人公ムーンドッグ(マシュー・マコノヒー)の姿は見ていて楽しかった。

ムーンドッグは、かつて天才と讃えられた詩人。妻ミニーの財力により何不自由ない暮らしをしている。自由気ままに酒に酔い、時々詩を書く。しかし、ある事件からホームレスに陥ってしまう。なにもかも失った時、彼自身が変わるかというとそうではない。全く適当に、その場その場でやり過ごしていく。その姿はどこまでもユーモラスでポジティブで、能天気であるのだが楽しい。

じゃあただただ陽気なだけかというとそうではない。ところどころで彼の内面が表現されるのだが、そこには悲しみも後悔もあるのだ。ただそれは深刻になりすぎない。自由で幸福な彼の姿は、見ているものにも光を映すのだ。
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