Shiojesus

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのShiojesusのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

顔の良い男は見ているだけで満足する。それは単にビジュアルの美術的な良さによってではなく、その黄金比が感情と共に崩れることで生じる落差によるものではなかろうか。

要するに良い男が苦渋の表情浮かべているのって興奮するよね、ってこと。

文字に起こすととんでもない性格の悪さを露呈するが、そうとしか思えない程終盤のディカプリオの表情には心が躍った。

そしてそんな「性格悪い」くらいの悪口なんざカス同然に思えるほどのデ・ニーロの悪党ぶり。
おれは最初からお前の為を思って言ってるんだぜ?って近付き、手篭め、思い通りにしていく。笑顔の裏で着々と進行するインディアン根絶やし作戦。お見事です、御大。

「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」でもそうでしたが、終盤になって登場させてこっちのテンションもう一掴みするマーティン・スコセッシ監督の配役は今回も健在。だし、ロックファンにはもうひとつ、とダメ押ししてくるあたりも、ロバート・ロバートソンなき今さらなるスコセッシ作品の音楽プロデューサーは…?問題に対しファンの妄想を掻き立てる仕掛けになっているようで楽しかったです。

【追記】

2023年ジーザスシネマランキング第8位

オクラホマで石油を掘り当てた先住民族の利権を我が物にするために、次々に結婚し身内にした上で殺していくという凄惨な事件に巻き込まれたアーネスト(レオナルド・ディカプリオ)。

この事件が事実であるということもさることながら、その恐ろしさを極限まで静かに、まるで何事も無いかのように秘めつつ存在するキング(ロバート・デ・ニーロ)。戦争帰りで頼って行った身内がまさかの事件の首謀者で、いつのまにか自分もその事件に加担する1人になっている。この恐怖。アーネストは戦争帰りといえど、銃弾飛び交う最前線を潜り抜けてきた猛者でもなんでもないペラッペラの男。恐怖による支配になんとか対抗しようとする姿も、真実の愛に気付きながらも己の見栄やプライドを守ることを優先してしまう姿も演技として最高級。

スコセッシxディカプリオxデ・ニーロだからこそ出せる味わいの、まさに贅沢三昧な映画でした。
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