ヤンデル

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのヤンデルのレビュー・感想・評価

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・1920年代にオクラホマで石油を採掘したことから多大な富を得たオセージ族が白人に次々と殺された事件を元にしている。これはFBI(連邦警察)が発足するきっかけになった事件であり、それまでのアメリカの警察は州をまたいだ捜査が出来なかった。

・米国の暗部である事件だが、当映画が最初に取り上げたものではなく、過去に「連邦警察」など映像化されたことがある。

・製作には実際のオセージ族首長以下の協力を得ることができたという。

・原作「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」では、FBIの原型となった組織の捜査官の視点で描かれている。

・レオナルド・ディカプリオは元々FBI捜査官の役としてオファーされたが、主人公が白人の立場だと描けないものがあると気づき、劇中のアーノルドの役となった。

・オセージ族が石油の権利を手にした時点では蒸気機関が主なエネルギーだったがフォードが安価な車のモデルを普及させたため、彼らはそれによって莫大な資産を得ることが出来た。

・スコセッシはベルナルド・ベルトリッチ監督「暗殺の森」に影響され、「ミーン・ストリート」「アイリッシュマン」を製作しているが、これらの共通点は、圧力によって愛するものを殺してしまう物語ということである。また、「沈黙」では信仰を裏切ってしまうキリシタンを取り上げることによってその苦悩を描いている。

・デニーロ演じるウィリアム・ヘイル達は家父長制的な考えを持っており、オセージ族は家母長制、女性を中心とした社会となっているため、そこが対照的な設定にもなっている。

・妻が夫に対し毒を盛られていると疑う物語はヒッチコックが映画化した「断崖」を参考にしているとスコセッシは言う。P・T・アンダーソンの「ファントム・スレッド」も「断崖」を下敷きになている。
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