ハンスウ

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのハンスウのレビュー・感想・評価

4.0
アップルTVで観ましたけど、これは西部劇だけに大きいスクリーンで観た方がいいかもしれません。しかし上映時間が3時間半……。2回とトイレタイムと食事しながらの鑑賞だったので家じゃなかったらちょっとつらかったかもしれません😅

原作がノンフィクションとのことなので実話を元に脚色したフィクションですね。ベテラン監督による、丁寧に丹念に練り込まれたサスペンスが演出されてます。アメリカ人は実に堂々とこの手の作品を発表しますが、そのピンと背筋を伸ばしたような姿勢はまぶしく映ります。

というのは、アメリカ白人による先住民の連続殺人という題材を扱っているんだけれど、しっかり大手の会社が関わっているし、ハリウッドの大スターたちも率先してこの作品に参加しているからです。過去のアメリカの恥部はさらされるけれど、しっかりと受け止めて作品に仕立てられ、先住民に対するリスペクトを示すラストで締めくくられています。

また、一応、この作品で起こった事件は解決します。閉鎖的な田舎で深い闇に葬られるかに思えた事件だけど、捜査の手がしっかり行き渡り(これがFBIの始まりだそうな)、次々に実行犯が捕まり、主犯たちの刑も執行されます。このあたりは一種の自浄能力が働いているようで、アメリカというのは闇も深いけど洗練された部分も大きいんだなと思わされました。

でも、やっぱ長い……。長いんだけど、もしかしたらこの作品を描くにはまだまだ時間が足りないのかもしれないとも言えるかもしれません。今でこそ先住民の立場を尊重しようと大きな声で言えるけど、長い間おろそかにされてきた歴史もあるわけだから、どんな脚本術を駆使しても単純にカットすることはできなかったのでしょう。不正や犯罪と戦うのは映画の仕事の一つでもあると思います。普段わたしは実話ものの映画を嫌うけど監督の誠実さが強く伝わってきたので高めに評価できました。
ハンスウ

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