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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのおのレビュー・感想・評価

3.9
 言葉選ばないで言うと、マジで胸糞な話すぎるからこんな人の命を軽んじることが当たり前だった史実を、どうにか風化させないように3時間に収めたんだと思う。
 途中まで正直観るの辞めたいなって思ったし、何がフラワームーンにとって救いになるのか全然分からんしわかりたくもなかった。

 オセージ族モリーの立場であの濁った世界を見つめてたら、絶対白人達の笑顔にある嘘を見透かす賢さがあるはずだし矛盾に気づける切れ者だったはずなのに。身近な白人男性である夫への不信感はあったはずなのに。
 憎しみと愛ってやっぱくっついてるんかな。愛を忘れずに川に流すまで言いきったのは、先住民族の罪への捉え方や文化的背景なのか、アーネストの心の奥にある馬鹿な愛に気づいてしまったからなのか。

 最低最悪の小物悪党すぎるアーネスト。だけど、妻にインスリンを打つ時だけは本当に治ってほしいって思いながら打ってたんじゃないかと思う。
 その意味ではアーネストは、意思を持たないただの人間で叔父の操り人形にしかなれなかった。  
 愛を持っていても知性がないと相手の意図を汲み取ることも守ることもできない怖さがある。 
 愛を持っても人は人を損得でしか見ていない時には対等になりきれない悔しさはある。それを人は偽善と呼ぶんだと学んだ。

 白人黒人間の差別に意識が向きがちな世界。人間とも思っていない他人種へのヘイトや無関心を超えた、心的安全な場所って地球のどこにあるんだろうね。
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