Dumbo

幸せへのまわり道のDumboのレビュー・感想・評価

幸せへのまわり道(2019年製作の映画)
4.6
トム・ハンクスに会いたい!
ただそれだけで観に行ったのですが、
始まってすぐに、
ミニチュアの街が出てきた時点で、
これ絶対好きなやつだ!って思った。

「ご近所さんになりませんか?」

トム・ハンクスが演じてるのは、
この語りかけで始まる
アメリカの人気子ども番組の司会者、
フレッド・ロジャース。
この番組を観たことも無いし、
フレッドご本人のことも知らなかったけど、
トムの演じるフレッドが、
その笑顔、話し方、言葉遣い、
すべてがあたたかくて、
この人を見ているだけで
幸せに包まれていく。

こうくれば、
この司会者のドキュメンタリー作品?
と思いますよね?
それがなんだかちょっと違う。
もう一人の登場人物は、
フレッドを取材するために彼に会いに来た
雑誌記者のロイド。

実はこれ、
人気司会者の成功物語ではなく、
その司会者との出会いによって、
“許し”と
“家族の再生”に向き合うロイドの物語。

このフレッド・ロジャースという人、
こんな人いるのかなぁと思うほど、
聖人君子みたいな完璧な人に見えるけど、
もともとそういう人だったわけではなくて、
努力によってそうなったところが、
またよかった。
そして自分にもそんな経験があるからこそ、
ロイドの苦しみに
気づくことができたんだろう。


「許しとは決断すること」
何を決断するのかというと、
怒りを止めると決断することだ。
そして、
愛しているほど、その決断は難しくなる。

フレッドがレストランで言ってたように、
どんなに憎い人でも、
その人の影響によって
今の自分が作られている。
自分に影響を与えた人を
愛する人を
1分間思ってみよう…


エンドクレジットが流れ始めた時点で、
席を立った人が何人かいたから、
きっと好き嫌いが分かれる作品なのかな
と思います。

でも!
エンドクレジットを最後まで観ると、
本物のフレッドにも会えます!
少し出てきただけだけど、
雰囲気や話し方など、
トムが演じたフレッドそのものだった!

だけど実は、
本物のフレッドは静かで口数も少なく、
身振り手振りもほとんどしないけど、
トム・ハンクス自身は
話好きででオーバーリアクションなので、
役作りは結構大変だったと
トレーラーのメイキングシーンで言っていたのは
意外でした。
トム・ハンクス自身が、
もともとフレッドみたいな人だと
思っていたから。

毎度邦題にケチつけてすみませんが💦
『幸せへのまわり道』という邦題、
どうしても合っていないと思う…
『ミスター・ロジャース』とか
『フレッド!』の方がいいような…


大切な宝物をもらったような気持ちになる
とても素敵な作品です。

…なんて言っておきながら、
家族の問題に向き合わず、
映画館に逃げている私は、
ほんとにダメだなぁと
複雑な気持ちになってしまった…😭
でも、フレッドが言ってたように、
悩みが苦しみが無ければ、
私は映画館にいないかも…
と思ったら、
これでよかったのかもと、
上映が終わった席で、
静かに一人、心に思った。
Dumbo

Dumbo