ふじこ

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドのふじこのレビュー・感想・評価

4.0
They Shall Not Grow Old.
彼等が体験した事実も、それを記録したものも、受け止めたものも、決して老いることはない。
第一次世界大戦の記憶を持っている人は、どれだけ居るのだろう。
生まれていた人はいるかも知れないけれど、体験をした人はもう居ないんじゃないだろうか。
インタビューに答えている男性たちは淡々と、時に笑い声を交えて語るのだけれども、実際に映される映像はただただ悲惨で、生でその現場にいた人にしか分からない空気感や高揚感、そんなものがあるんだと分かった。

WW2ではあるけれど、わたしのじいちゃんは戦争へ行った。シベリアへ抑留されて帰ってきたけれど、死ぬまでその事を話すことはなかった。
孫であるわたしは幼く、いつも笑顔で一緒に散歩をしたり凧揚げをしたりドライブをしたじいちゃんしか知らないけれど、昔は怖かったんだよ、と言う母もまた、戦争の話はきけなかったと言う。

妻であったばあちゃんですら、じいちゃんが亡くなるまで片方が義眼であった事を知らなかったと言っていた。誰にも話したくはなかったのだろうと思うけれど、戦争の記憶は大切なものだと思う。
歴史の資料に触れ、行ったこともない地の外国の人の話ですら一端をただ眺めただけで若くして死んでいった人達の姿を観るのは辛い。

今こうしている間にも、イスラエルとパレスチナでは100年争い、ロシアはウクライナへ侵攻している。
実際に戦場へ赴くことのないえらい人達の思惑で、何もわからない若い兵士や住む場所を破壊される一般市民がいるって事がものすごく愚かしくて、一体いつまで続けるのだろうと虚しくなる。
ふじこ

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