スガシュウヘイ

Fukushima 50のスガシュウヘイのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
3.5
「俺たちは自然の力をなめていた」

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あの時、福島第一原発で何が起こっていたのか。「現場」の視点から再現する。
現場視点のため、総理官邸の動きがやたら邪魔くさい感じで描かれているのは少し残念だった。あの時は官邸も、情報を全然あげてこない東電に苛立っており、直接視察に行くしかないような状態だった。
かと言って総理自らが視察する必要はなく、信頼できる部下などに行かせれば充分だったはずだけど。

官邸の指示だっておかしいと思えば、当事者である東電が説明して断らなきゃダメでしょう。官邸が悪いみたいな描き方ではなく、官邸内の葛藤についても、もう少しえがいてほしかった。


しかし、その点差し引いても、現場再現の臨場感は高い。
刻々と変化する状況。
対応をミスれば東日本全体が廃墟と化す。
地震→津波→メルトダウン→爆発と、次々に襲いくる未曾有の危機を前に、命懸けで仕事をする日本人の姿に胸が熱くなる。


日本史上最大の大災害。
このテーマでよく作ってくれた。
日本人なら見ておかなければならない映画の一つだと思う。


公開:2020年
監督:若松節郎(『沈まぬ太陽』『空母いぶき』)
出演:佐藤浩市、渡辺謙