Solaris8

Fukushima 50のSolaris8のレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
4.3
3/13の深夜に能登の地震で富山でも強い揺れが有ったが3/14に映画を観て来た。3/15の夜のNHKスペシャル「原発事故は防げなかったのか」という番組も偶然テレビで観た。津波の高さがかなりの高さになる事を予想し、予防策を講じようとしていた人々が居た事実を言及しているが、日本社会の横並び体質に触れて人災の責任までは明確にしていない。

映画の「Fukushima 50」は原発事故の原因を想定外の津波の高さによる自然の驚異としていたが、天災が一因に在った事も間違いなく、日本の映画界としても先ずは映画で記憶に留めるという大事な務めを果たしたのではないかと思う。若松監督の他の映画は「ホワイトアウト」しか観た事がないが、映画化する事で監督自身の思想や信念を問われる事を考えると、言い方は悪いかもしれないが常識的な脚本と俳優陣で、国民的映画を纏めていると感じた。ドキュメンタリー映画でないので演出している部分は当然あると思うが、映画としては抑え気味に描いていて許容範囲内だと思う。悪役気味になっている首相も、当時、外野だった国民の姿を代弁しているのに過ぎず、首相が国家を憂いている姿は描かれている。もし故郷が危機的な状況に追い込まれ、放射線量が分からない現場に行く決死隊を結成したとして、その場に自分が居たらどうするかと考えるが、そういう事を考えさせるという事は映画化に成功している証で、全体的な印象は悪くは無かった。

映画の最後の方で二号機原子炉の圧力が減り、爆発の可能性が無くなって、お手洗いで主役二人がタバコで一服するシーンがあるが、原発の存在が地元の経済活性化の貢献度を考えると害が在っても止められないタバコの様に思えて、このシーンにはそんな意図も在ったのかもしれないと思った。

自分は3/15の東京の板橋cityマラソンにエントリしていたが新型肺炎の影響で、中止になった。代わりに、3/15は糸魚川のシャルマン火打でスキーして来たが、今年は記録的暖冬で、同じ糸魚川市にある糸魚川シーサイドバレースキー場がシーズン営業停止に追い込まれている。3/7の東京で行われる予定だった舞台挨拶が、自然の驚異の新型肺炎の影響で中止になったと云う。人は海の上を漂うように、自然には抗えないが、だからと言って流されるだけでは進歩がなく、近年起こっている一連の自然災害は記憶に留まりそうである。
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