想

ホテル・ムンバイの想のレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
4.0
2008年に実際にインドで発生し、日本人の犠牲者も出した凄惨な同時多発テロ。
標的の一つとなったタージマハルホテルに焦点を当て、ホテルに閉じ込められた人々とテロリスト達の緊迫の攻防が描かれています。

先日鑑賞した『7月22日』のノルウェーテロ事件もそうでしたが、同じ人間の所業とは思えない残虐な行為に目を覆いたくなります。完全に無慈悲な相手に銃を向けられた時の極限の恐怖感が、迫真の映像を通してジリジリ伝わってきます。

そんな相手を前に、宿泊客を守るために奮闘した人々。
自分の命の危機が迫りながらも客室に電話をかけて部屋から出ないよう促すフロント係。脱出する機会がありながらもホテルに留まり、宿泊客の安全を守ろうとする者。
パニックが起こらぬ様に先頭に立ち、リーダーシップを執ることで皆を落ち着かせる料理長。少ない人員と装備で先陣をきって突入する警官たち。
彼らの英雄的行動には心から敬服します。

テロの実行犯がまだあどけなさの残る青年達だった事にも驚きました。
ホテルの内装や料理に感動したり、祈りを捧げる同教徒の女性を撃つことを躊躇ったり、自分の最期を受け入れて家族に連絡したりと、人間としての感情が描かれているのも印象的でした。
彼らの行為に同情の余地はありませんが、信仰心と彼らの貧困を利用し、裏で糸を引く首謀者は本当に救い様の無い悪だと感じました。
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