このレビューはネタバレを含みます
物語として若干矛盾がある気がするけれど、観ているこちらの夢に出てきそうな、知っているモチーフを使ってじわじわ世界観に浸透されていく感覚が面白くも怖かった。
背景の平面から登場人物が浮き出て、立体的になったり、いなくなったりして家の中で物語が進むのだが、それがもう怖いというか不気味で閉塞感がある、のに続きが気になってしまう。
また不安を煽る音づくりが素晴らしい。
マリアがアナとペドロに外に出てはいけないと教えたせいで誰も外に出ず飢えに陥り、アナとペドロはマリアを食べようとする。
その前のシーンまで三人が手を取り合って幸せそうにしている場面がせつない。
コロニア・ディグニダについては何も情報を入れていなかったので、いろいろ調べてみたら、マリアが出会った豚はコロニー外の人間という解釈がしっくりきた。
マリアもコロニーに洗脳され、アナとペドロを洗脳したオオカミのひとりだったんだと気づいた。加害者であり、被害者でもある。とことん救いがない。