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オオカミの家のlektonのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.7
本作品は、所謂商業映画ではなく、アート作品だと思う。ストーリーよりも、ストップモーションの技法自体が目を見張る斬新なものがあるからだ。実際、製作プロセスをそのまま見せてしまう作品はかつてなかったと思う。さらに本作品が、状況説明よりも、イソップのように、動物の話をしながら人間について語るごとき、寓意に力を入れていることもアートである証となる。ブタは何を意味するか、なぜ食べられそうになるか、コロニーの外の家がなぜオオカミの家という名前をもつのか、なぜ主人公はコロニーに帰るのか、全て寓意的意図があると思う。たしかにNetflixで、ドキュメンタリーのcolonia dignidad を見れば、本作品のストーリー的な要素の理解も深まるだろうが、それでも、やはりアートとして表現自体の価値は揺るぎない。美術館で見たい作品である。
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