lektonさんの映画レビュー・感想・評価

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パターソン(2016年製作の映画)

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ジム・ジャームッシュ監督はデビューした頃からフォローしてきたが、本作品はコロナ禍の中で配信で見た。大事件が起こらない淡々とした描写とユーモアは変わらないなと感じたが、しかし嬉しかったのは現代にも古典的>>続きを読む

プリシラ(2023年製作の映画)

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ソフィアコッポラは、そのお父さんと共に好きなんです。初期の「ロスト〜」から、期待値が安定して高いままだったんです。しかし、しかし、本作品は、その主題は何なのでしょうか。身勝手なプレスリーに振り回されて>>続きを読む

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

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見たあとモヤモヤが晴れないままだ。監督は父親路線で頑張って演出してるが、毒味は少ないし、主役のアレクサンダーはノースマンと真逆の役に挑戦して演技幅を広くしてるつもりだろうが体格が邪魔してる。主題の自分>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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CG技術については専門家に任せるしかないけれど、ゴジラの背中グキグキと、その結果の爆発は迫力あったし、容赦ない殺戮の悪役度も良かったし、なにより自衛隊出動の音楽はいつ聞いても懐かしくワクワクしたー。し>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

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おそらくこの作品は、ありがちな真相暴露物語には関心がないようだ。それよりも「藪の中」的な事態に対して、出来事に関する、検事と弁護士と証人の話す「可能性」と「想像」の言葉が飛び交うことで、見る者を、解釈>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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歴史的オッペンハイマーには興味があったので、よくドキュメンタリなど見てきたためか登場人物や人間関係や社会背景などは、すんなり入ってきた。が、それらに全く触れてない人が見たらついていくのが大変だろうなあ>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

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どうしても、昔に見たリンチ版と比較しながら見てしまう自分が情けない。かつて描かれなかった驚くべき親族関係もあり(ギリシャ悲劇だ!)、復讐への過程でフレメンとの関係構築を丹念に描いてるし(予言と信仰の神>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

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この監督は、「聖なる鹿殺し」がよかったから好きなのだが、本作には原作があるから、映像化のオリジナリティを評価するには原作も読まないといけないだろう。でも、映画は映画だなのだから、として気にせず考えると>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

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過去作品からして期待値が大きかったが、過去作品のどれとも異なる新しい視点をもつ傑作だ。過去作品では一家族が、または共同体が狂気に包まれるが、今度は世界が狂気で満たされてBEAUは絶対的孤独に苛まれる。>>続きを読む

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)

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制作の契機やスポンサーはどうであれ、動機と目的はあまりに明確かつ真面目だ。その社会風刺力は遊園地のメタファーによって誰にもわかりやすく表現されている。制作時期から時間が経った現代でも「老い」に対する同>>続きを読む

アメリ(2001年製作の映画)

4.8

リアルタイムで見たときには、同じ監督が「エイリアン」まで監督するとは思えないほど素敵なファンタジーだったから、限定「アメリ缶」まで購入したものだった。今見てもその新鮮さは失われてない。しかし、当時、ク>>続きを読む

イノセンツ(2021年製作の映画)

4.2

一般概念としてイノセントとは両義的なのだか、本作品はそれを強く自覚していると感じた。ハリウッドが作ると、こうなるだろうと想像させるほど抑制のきいた演出であって作品の出自を感じさせる文化も感じた。日本映>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

5.0

初期の「罪と罰」と構成や人物性格は似ているが、「相手の意志に全面的に従う愛」のあり方が、より双方向的に徹底していて、さらに不穏な世相と孤独を背景にすることで、「愛」の必要性が一層明確になっていた。これ>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

4.0

中高で学んだ世界史そのままが映像化されてたって感じでだった。狙いはホアキン・フェニックスだが、性格描写は、「ジョーカー」ほどは掘り込まれていないと感じた。やや時代に流されてるような立ち位置。作品最後に>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.5

配給会社は、ノエ監督が「〜を封印」
とか、監督の変節を醸し出していたが、「アレックス」からなんら変わっていないことがわかった。両作品は通底している。それは、「無慈悲」だ。登場人物の幸福な始まりは、直ぐ
>>続きを読む

12モンキーズ(1995年製作の映画)

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この映画を見る気になったのは、テリーギリアム監督だからだ。モンティパイソンファンとしては欠かせない。意外に地味なSFだが、あとから元ネタの、ラ・ジュテを知って、オリジナルの喪失感的世界観の良さを堪能し>>続きを読む

理想郷(2022年製作の映画)

4.0

冒頭の「ガリシア人の男」のエピソードが、後半のアントワーヌの最期の姿と重なる。いずれも、喘ぐ口元のアップになって終わるからだ。そこに監督のメッセージを感じた。邦語タイトルは、原題を考えると、踏み込み過>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

4.7

本作品は、所謂商業映画ではなく、アート作品だと思う。ストーリーよりも、ストップモーションの技法自体が目を見張る斬新なものがあるからだ。実際、製作プロセスをそのまま見せてしまう作品はかつてなかったと思う>>続きを読む

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.8

久しぶりに、記号学的な考察を要する作品を見られた思いがします。何も言わないことの意味、表情や涙の意味、たわいない挨拶の言葉に隠れた心中の内容、走ることの意味、振り返ることの意味、考えさせられます。なぜ>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

こんな作品は見たことなかった。鑑賞後、確実に心情的に尾を引く。おそらくは離婚した後であろう愛情深い父親と11歳の娘との、限られた再会期間を、なぜかトルコのリゾートで大きな出来事もなく描写するプロセス、>>続きを読む

EO イーオー(2022年製作の映画)

4.0

なぜカンヌで審査員賞を取ったのか、わかるような気がした。アメリカではなく西欧的風土に適した明確な批判的メッセージがあるからである。イノセントなEOは、アダちゃんのように翻弄されるが、その分人間の身勝手>>続きを読む

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.3

マッツ・ミケルセンが好きなのとデンマーク映画が珍しいのとが鑑賞のモチベーションでしたが、思いの外、収穫があった。①酒の哲学が紹介されたこと、②デンマークの飲酒可能年齢を知って、日本と比べて、いかに日本>>続きを読む

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.7

今までずっとシャマランを見てきた立場からすれば、彼にテーマや方法の一貫性を感じさせる更なる作品、て感じです。それは、愛(犠牲)と救済というテーマと、神話性を漂わせる手法です。決して大どんでん返しなどで>>続きを読む

Summer of 85(2020年製作の映画)

4.3

フランソワ・オゾンの初期の「海へ」などにはサド的要素があったのだが、「僕を葬むる」あたりから人生の機微を優しく繊細に描いて来て、監督が年齢を重ねる意義を感じてたが、まさかBL文化に参入するとは思わなか>>続きを読む

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

4.0

懐かしい。当時は、日英美形将校の衝突を軸にして、時代的に早すぎるBL文化の雰囲気の下、リゾートのようにしか見えない風光明媚な場所で、心に残るメロディと大島凪的カラフルとで、もはや戦争映画ではないなー、>>続きを読む

ノベンバー(2017年製作の映画)

4.5

エストニアの歴史映画は珍しい。とはいえ中世末期の土着神話や宗教を、その信仰する立場からどのように見えるのかをそのまま映像化している点で素晴らしい。したがって、死者の日は、そのまんま死者が、ゾンビではな>>続きを読む

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

リアルタイムで見た当時は、サミュエル・L・ジャクソンの聖書暗誦✖︎✖︎シーン、時間軸の自在な場面構成、並行ストーリーの先行きの読めなさ、トラボルタのダサいダンス、レザボアドッグス後の期待値満足度、何も>>続きを読む

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.3

人間になりたいピノキオかと思いきや、ひたすらゼペットじいさんの息子になりたいピノキオ。その純朴且つ真っ直ぐな心が、他のピノキオ作品よりも遥かに強く描かれてたなー。ギレルモの体験なのだろうか?

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.5

シャラメはプロデューサーにもなるほどの熱意をもっているみたいだが、一体この作品にどんな思い入れがあったんだろう、と考えさせてしまう。監督技としては前作の方が、センチメンタルな雰囲気全開で、特にラストシ>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.5

人生悔いなく生きようとして生活を改革する前進者と、生活を変えたくない保守的な甘えん坊とのあいだの戦争は、終わる内戦と違って、逆ギレする後者に有利に展開するが、2人とも激怒してるから、終戦には至らない。>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

5.0

多くの人は、この映画をホラー映画と分類する。しかし、違う。これは、哲学や宗教学の「宗教とは何か」の問いに真正面から照り組み、真面目に応えた思想映画だ。その答えは、宗教の共同体とは、悲しい時に一緒に激し>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.0

ヴァーホーヴェンの昔のセンセーショナルな部分は丸くなってるように感じた。しかし、通常の歴史劇として見れば、或る修道女の純真な信仰(強烈な思い込み・宗教社会への自己中な参加意志、所謂アンガージュマン)が>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.8

オープンなエンディングが素晴らしい。equality について説教してこない作品姿勢が素晴らしい。会話のリアリズムが素晴らしい。

RRR(2022年製作の映画)

3.5

全く頭を使わない作品も、たまに見ると楽しめてしまう自分に気がつきました。感謝。さて通常、植民地時代を描く作品は、あまりのナショナリズムの故か、支配国を徹底して悪に描くのですが、善人も配置して、ひたすら>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.5

アジア人にもプライズを、というハリウッドの政治的思惑はともかく、ホラー映画のハロウィンヒやフォッグに出てた、悲鳴をあげるヒロイン、ジェイミー・リー・カーティスが、逆に、怖い怪物になってたので、楽しめま>>続きを読む