ゆず

影裏のゆずのネタバレレビュー・内容・結末

影裏(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

「屍の上に立ってるんだよ」



日浅という男の謎解きの話ではないのでそこに重点を置くと消化不良になったかも。
人と人との、人と自然との関係性。そしてそれがある日突然変わる。その光と影、表と裏を見る方がいいのかも。
炎も美しいターニングポイントだけど、序盤に山火事の話が入るので、ガラスみたいに綺麗、だけでは終わらせてくれない。


鑑賞前日に予告見て観に行こうかなと思ったくらいだったので、綾野剛の艶やかさのようなものが序盤から顕れるけど、あんなにはっきりとシーンに出ると思ってなかった。
ざくろに桃。出てくる果実もまた官能的。
嫌いじゃない。好き。
中村倫也は綺麗で、松田龍平は言わずもがな。キャストは総じて最高。


人は誰でも影の部分があって、日浅の影に重きを置いた作品だったけど、今野だって「影」を持って生きている。
そういう意味では今野の「影」を知っても受け入れることも否定もしなかった日浅は流れる川のような存在だったのかもしれない。

誰も知りあいがいない田舎で友人としてそばにいる日浅に今野が惹かれたように、閉塞感のある地元で何も知らずにそばにいる今野に日浅もまた救われていたのかな。



ニジマスは本来彼処にはいない生き物。違う環境でも生きて、放流されて、またニジマスと出会った。
二回目もまた放流された。次は新しい土地で出会うのかもね。




——
シーンや設定をいろいろ見直したいのでもう一回行きたいけど、そしたらこれ円盤買っちゃうパターンだな…
ゆず

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