ゆず

君たちはどう生きるかのゆずのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


君たちはどう生きるかのネタバレというかジブリへの向き合い方というか


■待て待て待て待て「(俺たちはこう生きてきたけど)君たちはどう生きるか」じゃん!!!!!!!!!!!!
宮崎駿監督と鈴木敏夫氏が肩組んでイェーイ観てるぅ?!って印象しかなかったわ!なんか宮崎駿色が強いんだけど絶対いるのよ鈴木敏夫が!!!肩を組むな!!こっちを見るな!!


今まで観てきたものの集大成すぎてさぁ。どこをどう観ても今まで観てきた「ジブリ」が詰まっててめちゃくちゃエモくなった。やめろやめろ!
死ぬなはやお!!!!!閉じるなジブリ!!!!!
はやおの同人誌、めちゃくちゃわかる……
色も音も匂いも手触りも、全部全部今まで感じてきたもの詰まってる。
描けなかっただろうものも描きたかっただろうものも全部、もうてんこ盛り!全部のせ!!作品自体がもう宮崎駿とスタジオジブリ!!!!!!


ナウシカであり魔女の宅急便でありラピュタでありトトロでありもののけ姫であり千と千尋でありハウルでありポニョであり風立ちぬであり他諸々挙げ始めたらキリがないくらい……、あの広告のラインナップままじゃんもうすごかった。それでいて白雪姫であり眠れる森の美女でもあり不思議の国のアリスでもあって、なんだこれ!?どうしたらこんな面白いことができるんですか?

■ぜんぶのせ……贅沢だな……

美少年、性癖か???
かっこいい女、いいよね。
あとなんでインコ?って思ったけど、インコはペットから野生化したインコたちって感想で見てそういう角度からか…と思った。


■物語はいつも母、海、生命に帰着する

思い出のマーニーは自分の祖母(の思い出)とのひと夏のガールミーツガールで、それはとてもエモーショナルだったわけですが。

だとしても!!ボーイミーツガールを自分の母親となぜさせた!?!?
一気に生々しくなってしまってそこが私と物語の相性が悪かった。
真人や大叔父(ある意味父親も)の「少年らしさ」を肯定するのに、それと同時に女性には母性、母親像をもとめる気味の悪さがどうにも相性が悪い。
いや未来を描くためには生命を繋いでいくことが必要で、それに母親が必要不可欠なのはとてもわかる。理解する。
だとしても母親をヒロインにして真人とって…………待て待て待て待て

でもそれが宮崎駿監督であって、そこに変化を求めたいわけじゃない。
原初、死と再生(死と再生はこれだけの属性なら寧ろ好き)、家族、母、母なる海、
この辺りの属性が(地雷というほど毛嫌いはしないけれど)Not for meなので、THE FIRST SLAM DUNKも海獣の子供も好きだけど夢中になれなかった私との相性、それだけなんだ。
君たちはどう生きるかも面白いと思うしまた観たいとも思うけどただここのせいで沸きあがってこないこないのよ私の中の熱が!!!

とはいえども。自分好みの味付けではないけれど、でもこれを食べに来たんだ、親父、いつものをくれ。好きなものを詰め込んだ巨匠の同人誌。それもいいじゃないか!?
宮崎駿監督の価値観はそのままに、別の価値観は宮崎駿監督から「なにかしら」を受けとった次の世代の人たちが作ってくれたらいい。または継がなくてもいい。それは大叔父と真人のような関係性でいい。

それにしてもすべてが……詰めってたな……(大の字)


■この世は生きるに値する

“僕は児童文学の多くの作品に影響を受けてこの世界に入ったので、基本的に子供たちに「この世は生きるに値するんだ」ということを伝えるのが自分たちの仕事の根幹になければいけないと思ってきた。それはいまも変わらない。(2013年引退会見より)”

以前宮崎駿監督が引退会見で語った時の(もう10年前なのですね…。10…??)
「この世は生きるに値する」というメッセージがずっと好きで、創作でもそこを大事にしてる。君たちはどう生きるか。このメッセージへの返しとして、ここを受けとってこれから私は生きていくのだと思う。

少年の成長を通じてこの世は生きるに値するというメッセージ性を伝える手腕に本当に惹きつけられる。
真人は美しい世界の創造主にはならなかった。
ラストの糞がすごい。父親もナツコさんも真人もクソまみれ。この世界はいつだって争いは絶えず、悪意で人を傷つける。でも綺麗なだけじゃないこの世界で、真人は家族の中で、友達をつくり、人の社会の中で生きていく。この世は生きるに値する。
ゆず

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