スプリングス

1人のダンスのスプリングスのレビュー・感想・評価

1人のダンス(2018年製作の映画)
3.8
〈/怒りと救い/〉


【Introduction】

咀嚼し
嚥下する
現状を
どん詰まりのこの現状を
噛み砕き
吞み下す
理想と現実との差異を
どうしようもないからと
目をそらし
そして過去へ逃避する
瞳の中には自由な自分
バカ騒ぎしている
未来への不安は無く
楽しいことを素直に楽しんでいる
───この自分はもう居ない
今居るのは
テキトーにやることやって
帰って飲んで寝てる俺だけだ

...そんな俺でも
あいつらと会うと
昔に戻ったみたいな感覚になる
一緒にバカやったあいつら
今の俺が立っていられる理由

そのうちの1人から

ある知らせが届く

俺は...












──嘔吐──











【Review】
短編映画『宮田バスターズ(株)』で共演させていただいた大須みづほさんがご出演されているということで、観に行かせていただきました『1人のダンス』。
地下アイドルのMVを撮って生計を立てている主人公が、親友の歌う新曲の撮影を降板させられてブチ切れ疾走する話です。(ド雑要約)

いやぁ...すげぇ。
この映画、心の深い部分に刺さる刺さる、笑。
今作、現実であった親友との仲違いを監督が自ら映画化しちゃったという作品だそうで、やけに全編リアル。そのなかでも監督&主演の安楽さんが喚き散らすシーン。あそこ最高。
映画の内容もそうですが、作品の制作された経緯からも《怒りという感情の牽引力》の凄さを再確認させられましたね。冷静なままじゃ今作は撮れないですよ。
あと、僕も下手なりに友達がやってるバンドのMVを撮ったことがあるんですけど、劇中の撮影時間が1時間しか設けられてないアイドル事務所からのスケジュール内容とか、マジ吐きそう。簡単な撮影でも半日かかったんじゃが、、。無理じゃ、、。そりゃ無理なんじゃ、、。(タイトすぎて泣ける)

この映画、特に後半から疾走感がエグいです。監督の「撮りたい」が集約されているからなのか、熱量がほんとに凄い。
主人公の親友が出てくる終盤のシーンは本人に事前情報を与えず撮影したそうです。。ドッキリ番組かよ。すげぇな。
それもあってラスト、超スカッとします。
リアルの表情。
リアルの感情。
リアルの涙。
映画というフィクションのend.にはめ込まれたひとつのリアルが、この作品を《ただの映像》で終わらせない付加価値を与えているのだと思いました。
観に行って良かったです。
めっちゃオススメ。
機会がありましたら是非に!!

【Digression】
主題歌も素晴らしいので気になった方は調べてみてくだせぇ!歌詞が染みるんだこれが!!
「弱者なりに踊れ!」