ブラインドスポッティング＝盲点、ある視点を持つと他のものが見えなくなること。ある偏見により、相手のことを見ようとしなくなるというのはとても残酷なことで、相手のことをわかることなく、分かろうともせず判断して行く。その先に衝突があるのだ。
肌の色で、貧富の差でその人の個性が決まる訳ではないのに、その人の背景で判断してしまう。それぞれが自分を守るために攻撃し合い、衝突が起こる。そして、理不尽に人が死んでいく。
じわりじわりと映されていく衝突は、常に続く人種間の問題でありゾッとする。後ろから警官に撃たれる現実。家族を守る為に拳銃を持つこと。「撃たないで」と叫ぶ練習をする子供。理不尽に撃たれた同胞たちの姿。どうしようも無い現実に主人公コリンは苦悩する。
今作のクライマックス、ある冒頭の事件とコリンが再度対面する。そこでの迫力ある言葉の紡ぎに息を呑む。しかもそれを、ラップで表現するのだ。誰しも同じように、ある一面、ある部分を見ることしかできない。ルビンの壺のように、どちらかしか認識できない。しかしながら、それぞれが直感的に片方しか見れなくても、時間をかけてもう片方も見れるかもしれない。時に激しく、しかしながら希望を込めて、間違いなく今見るべき映画だと思う。
